朝日新聞 天声人語より

今朝の朝日新聞天声人語になるほどと思ったので、残しておきます。
読まれた方もいらっしゃると思いますが・・

『気象予報官にもタイプがあって、その昔は「屋上派」と「地下室派」がいたそうだ。  
「屋上派」は屋上で空を眺め、風を確かめる。実況に照らしてデータを修正して予報を出す。一方、「地下室派」は、部屋にこもって資料とにらめっこをする。解析技術は高いが、降っているのに「晴れ」と予報する位実況には無頓着な人たちだとか。
相通じる話を、免疫学者の多田富雄さんが書いていた。医者がパソコンばかり眺めて、患者の顔を見て診察しない。数値に頼って患者の訴えを聞かない。科学的根拠に基づく医療が行き過ぎたゆえの問題らしい。その反省から「ナラティブ・ベイスト・メディシン=物語に基づく医療」が提唱されているそうだ。つまりは話を良く効き、「ひとりの人間としての患者」を忘れない医療である。
だが、医師のコミュニケーション能力は大丈夫か。最近、ある医学部を見学した人が驚いていた「患者ロボット」を相手に問診の練習をするとのこと。人との対話が得意でない学生もいますから、などと説明があったとのこと。
その大学が「最先端」なのかもしれないが、ひょっとしてそんな流れなのか。病という難事において人生という物語を共有してくれる、「屋上派の医師」がもっと育てばいいのだけれど。』

病だけでなく、その人全体を診る、それが医療。人生という物語を共有してくれる医師が増えてくれることを心から願います。
病気だけではなくて、何事においてもその一つの事を見るのではなく、それを含めた全体を見ることって大切なのかなあ〜と思ったのでした。